米粉製粉業者が米粉の価値について考えてみた(新入社員向け)

私は米粉製粉業界に10年程携わってきました。そんなこんなで製粉業者からみた米粉とは何かをまとめてみました。

新規需要米とは?

新規需要米とは、国内主食用米、加工用米、備蓄米以外の以下の用途の為に生産されたお米で、目的以外に使用することが禁止されています。

・飼料用 ・米粉用 ・WCS用稲 ・青刈り稲用わら専用稲(飼料作物)・新市場開拓用(輸出用等)

米粉とは

米粉の定義

米粉とは新規需要米(米粉用)を製粉したものです。

製粉方法はたくさん種類がありロール式製粉胴搗製粉ピンミル製粉、気流粉砕製粉と多様で、それぞれに特徴があります。

他にもオリジナルで製粉機を作っているところもあるように、製粉方法で米粉の特性も大きく変わる場合があるので、自分に合った米粉メーカーを探す日も来るかもしれませんね。(ちなみに私のところは気流粉砕とピンミルの2機で製粉しています。)

上新粉とは何が違うの?

上新粉は加工用米を製粉したものです。主には和菓子に使われることが多く、昔から日常的に使われてきたのは上新粉と言えるでしょう。同じうるち米(同一の田んぼで収穫されたもの)でも届け出で呼び名、用途が変わるのはややこしいですね。

新規需要米(米粉用米)の縛り

米粉用米から作られた米粉には国が推奨する用途があります。それは、小麦粉の代替(パン・麺)として活用することです。更に用途の縛りがあり、大きくは以下の2つです。

  • 上新粉の需要を脅かしてはいけない。
  • 新規需要として使用しなくてはいけない。

以上の2項目を守らなければ最悪の場合、出荷停止処分になる可能性があるようです。(前例無)

米粉の方が上新粉より安い傾向にあるので上新粉を作っているところの仕事がなくならないようにしてるんですね。

しかしまぁ、縛りがきつくて中々商品化めでたどり着く企業が少なくて困りますw

米粉に対する価値感の変化

十数年前に誕生した米粉ですが、短い歴史の中で大きく変わったのが米粉に対する価値観です。

以前は地方創生、地産地消、米粉の食感を楽しむといった付加価値で米の消費拡大を図るために米粉は利用されてきました。

しかし、ここ数年で米粉の活用方法は大きく変わり、併せて米粉の価値も必然的に変わってきました。

グルテンフリーへの活用

グルテンフリーとは小麦粉を使わないということ。

その用途は多彩で、一番取り扱われているのがアレルギー対応です。そして、美容、健康、スポーツ面でも小麦を摂取しないという人が増えグルテンフリー市場は大きく成長してきました。

米粉=グルテンフリー

日本国内と比べ、諸外国ではグルテンフリー市場が大きく輸出を狙った商品展開が目立ってきました。

日本国内においてはグルテンフリー商品には米粉が使われていると認識されることが多くなってきました。

国外「グルテンフリー=小麦粉を使わない」

日本「グルテンフリー=米粉」or「グルテンフリー=小麦アレルギー対応」

といった感じです。

正確にはグルテンフリーは小麦粉を使わないという事なのですが、日本ではアレルギー対応を目指し、「ノングルテン」という新認証が誕生し、輸出を視野に入れた商品開発が増えています。

要約

十数年前に誕生した当時は 地方創生、地 地方創生、地産地消、米粉の食感を楽しむ という付加価値での米粉消費を促進していました。

しかし、ここ数年からグルテンフリーという考え方が広く知られるようになり、小麦アレルギーに対する認識の向上から米粉=グルテンフリー、そしてアレルギー対応という観点から米粉消費を促すようになってきました。

つまりこれからの米粉の価値はグルテンフリー対応、アレルギー対となり、更に市場は何倍にも膨れ上がると予想されています。

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